初めて就職したとき、あるいは初めての部署に異動になったとき、誰でも「できるだけ早く仕事を覚えたい」と思うものです。仕事の基礎を覚えるとき、その後にさらに高いレベルを目指すとき、欠かせないのがメンターの存在です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、日本語でいえば指導者、あるいは目標(手本)とする人と表現します。一般的には慣れないスタッフのために指導役のスタッフがいるものですが、メンターが必ずしも先輩であるかといえば、そうとは限りません。特定分野における知識やスキルを習得しているだけではなく、部分的にでも尊敬できるポイントを持っている人物がメンターの理想です。適切な指導者がいれば、知識や経験が少ないスタッフも少しずつ成長して、所属する組織で戦力になれます。一人で努力するよりも上達のスピードも違うでしょう。

しかし、ここで問題になりがちなのが、身近なところにメンターがいない場合です。教育システムが十分に機能していない組織だと、しっかりとした指導ができるメンターがいないケースは少なくありません。また、適切な人がいたとしても、異動により短期間で離ればなれになることもあります。このようなときは、別の組織にいる人物もメンターに抜擢できないかを考えなければなりません。直接のつながりはなくても、教えを受けることは可能です。

メンターの理想は、同じ部署の先輩ですが、適切な人物がいないときには、広い視野を持って頼れる人材を探すことも必要になるでしょう。新人を一人前に育てるためには、優秀な見守り役が欠かせないのです。